社労士三ッ塚真樹子オフィス

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労働トラブルの防止策

労働トラブルが起きないようにするには、どうしたら良いのでしょうか。ここでは、労働トラブルを予防するための考え方や、普段から職場で何ができるのかをお伝えします。

書面でもらう・メモを残す

口約束(口頭での労働契約)も有効ではありますが、ひとたび労働トラブルが起こると「言った」、「言わない」でもめてしまう原因となります。客観的な資料となる点から考えても、次のものは書面でもらうか、書面が無理な場合はメモを残すようにしましょう。

  • 労働契約書や労働条件通知書
  • 就業規則
  • 解雇理由証明書や退職証明書
  • タイムカードや出勤簿(写しをとる)
  • 労働時間を1分単位でメモを取る
  • 日付、時間、仕事内容、出来事などを日記やメモにする

このほか、「パソコンのログオフ時間を記録する」、「終業時間に家族へメールをする」ことも有効な資料になる場合があります。また、会社での出来事やその時に言われたことなどを時系列にまとめておくと、相談する場合に説明しやすくなります。

判例(裁判例)を参考にする

労働問題を解決策を考える際には、労働法だけではなく、判例(裁判例)も参考にすることがあります。なぜでしょうか。その理由として、次の3点が考えられるます。

  • 判例(裁判例)は、「労働トラブルの結果、どうなったか」ということを指し示しているので、労働トラブルの先を見通す目安となったり、解決のための指針となるから。
  • 労働トラブルの具体的な事実関係が分かるから(判例として、内容が詳細に公開されており、どんな点が問題となったのかが分かるから)。
  • 判例(裁判例)を学ぶことで、「労働トラブルに発展しないためには、どうしたら良かったのか」ということを考えることができ、結果的に労働トラブルを回避できるから。

裁判を起こすと、解決するまでに時間も費用もかかってしまうことになります。当事者にとっては、労働トラブルの渦中にいると先が見えなくて不安ですから、どのような形で解決を図るのか参考にできることで、問題解決の方向性が見えてくるので、安心感につながります。

裁判に発展する前にトラブルが解決する方が好ましいに決まっています。判例(裁判例)と全く同じ労働トラブルはありませんし、判例で解決できるものばかりではありませんが、判例(裁判例)を学ぶことは、労働トラブルを予防するうえで、大いに役立ちます。

パワハラは難しい問題

職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されており、典型的に以下の6つに類型化されています。(ただし、これらの行為だけがパワーハラスメントに該当するのではなく、これ以外の行為も問題となる場合があるということに注意する必要があります。)

①暴行・障害(身体的な攻撃)、②脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)、③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)、④業務上明らかに不要なことや遂行不能なことの強制、仕事の妨害(過度な要求)、⑤業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)、⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

「職場内の優位性」とは、上司から部下に対しての行為だけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるなどの様々な職務上の地位や人間関係の優位性を背景に行われるケースが含まれます。また、個人の受け止め方によって不満に感じる指示や注意・指導があっても、「業務の適正な範囲」内であればパワーハラスメントに該当しないこととなります。

上記の①については、業務の遂行に関係するものであったとしても、「業務の適正な範囲」に含むことはできません。また、上記の②と③については、通常、業務の遂行に必要な行為とは想定できませんので、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられます。

上記の④から⑥までは、業務上の適正な指導との線引きが難しいケースがあります。こうした行為について、何が「業務の適正な範囲」を超えるかは、業種や企業文化によって違いが生じます。また、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによっても、判断が左右される場合があります。このように、パワハラは「これが『パワハラだ』」と明確に断言できるケースばかりではないことから、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行うことが望まれます。

なお、加害者は、不法行為責任に基づく損害賠償責任などを問われることがあります(民法第709条)。また、場合によっては刑事上の責任を追及されることもあります。使用者は、上司などが業務に伴っていじめを行った場合には、「使用者責任」を問われることがあります(民法第715条)。また、使用者がいじめを防止できなかった場合には、労働者への安全配慮義務違反・職場環境配慮義務違反とされ、債務不履行責任を問われることがあります(労働契約法第5条、民法第415条)。